相続学校レジュメ⑥法人の活用

法人の活用

合同会社の活用

メリット

  • 設立費用が安い (6万円で設立可能)
  • ランニングコストが安く手続等も簡単
  • 経営の自由度が高い
  • 法人の節税メリットが享受できる
  • 社債発行も可能
  • 社員が有限責任である
  • 株式会社への変更も可能

デメリット

  • 合同会社の知名度が低い
  • 社員同士の対立の危険性がある
  • 上場はできない
  • 資金調達の手段が株式会社と比べると少ない

一般社団法人の活用

①一般社団法人とは(株式会社との比較)


株式会社
一般社団法人
設立株主1名以上からの出資により設立
社員2名以上で設立(人の集合体に対して法人格が付与されたもの)
事業内容
制限なし(基本的に営利事業)
制限なし
機関設計
必置:取締役(1人以上でOK)
   株主総会
任意:取締役会、監査会、監査役会等

必置:理事(1人以上でOK)
   社員総会
任意:理事会、監事、会計監査人

資金調達
借入
株主からの出資

借入
基金

持分
あり
なし
配当分可能
定款において、設立者に剰余金・残余財産の分配をする旨の定めはできない
平成30年度 税制改正 ●一般社団法人等に関する相続税の見直し

一般社団法人等を悪用した相続税の課税逃れに対処するため、特定の一般社団法人等(注)の理事(相続開始前5年以内のいずれかの時においてその一般社団法人等の役員であった者を含む)が死亡した場合、その一般社団法人等が次の金額をその死亡した理事から遺贈により取得したものとみなして、その一般社団法人等に相続税が課せられる改正が行われます。

特定の一般社団法人等が死亡した理事から遺贈により取得したものとみなされる金額

<計算式>

その一般社団法人等の純資産価額 ÷ 死亡時の同族役員の数(死亡した理事を含む) 

(注)
特定の一般社団法人等とは、次のいずれかを満たす一般社団法人等をいいます。
①相続開始直前において、同族役員数÷荘役員数の割合が50%超
②相続開始前5年以内において、上記①の割合が50%超である期間の合計が3年以上

平成30年4月1日(同日前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日)以後の理事の死亡から

②一般社団法人の設立費用

②一般社団法人の設立費用

費用の内訳
法定費用
 定款印紙代
0円
 定款認証手数料50,000円
 定款謄本代2,000円
 登録免許税60,000円
手数料

50,000円
(税込 54,000円)

合計

162,000円
(税込166,000円)

一般社団法人を不動産所有会社として活用

一般社団法人を不動産所有会社として活用

民事信託の活用

財産の評価

信託のしくみ

信託のしくみ

相続対策に活用できる主な信託商品

1)遺言代用信託
  契約により、契約者(委託者)死亡後に信託財産の受益権を指定した人に渡す信託財産は、一時金または年金または両者の組合せで支払いができる
  ※信託できる金額の限度額や、手数料の有無は、金融機関(あるいは商品)によって異なる
  ※生前は委託者が受託者として定期金を受け取り、委託者死亡後に受益権を相続人に移すことができるタイプもある

1)遺言代用信託

2)生命保険信託
  死亡保険金を信託銀行などが受取り、委託者の意思に従って、資金を指定した人に渡す

2)生命保険信託

3)暦年贈与信託
  親などがお金を信託し、信託銀行が子などへ贈与の意思確認や贈与の手続きを行う
  複数の贈与先を指定することも可。また毎年、贈与額を変更することも可

3)暦年贈与信託

4)特定贈与信託
  対象者が、重度の心身障害者や中軽度の知的障害者、精神障害者などに限定されている信託

4)特定贈与信託

5)教育資金贈与信託
  親や祖父母が30歳未満の子・孫名義の口座を開設し、資金を預ける(上限1500万円)

5)教育資金贈与信託

信託受益権の評価を利用した節税

◎土地・投資信託等を信託することで収益(家賃・分配金)を受け取る権利と元本を受け取る権利に分離することができる。

信託受益権の評価を利用した節税

※財産の元本部分だけ(元本受益権)を子供に移転する。

信託受益権の評価を利用した節税

【事例】 信託期間:10年 信託財産:100,000,000円 年間収益:10,000,000円 利回り:10%


収益(A)
複利原価率(B)
A×B
収益受益権評価(親)
元本受益権評価(子)
信託財産評価
信託設定時
96,280,000
3,720,000
100,000,000
1年目10,000,000
0.999
9,990,000
86,290,00013,710,000
100,000,000
2年目10,000,000
0.998
9,980,000
76,310,00023,690,000
100,000,000
3年目10,000,000
0.993
9,930,000
66,380,000
33,620,000
100,000,000
4年目10,000,000
0.990
9,900,000
56,480,000
43,520,000
100,000,000
5年目10,000,000
0.988
9,880,000
46,600,000
53,400,000
100,000,000
6年目10,000,000
0.985
9,850,000
36,750,000
63,250,000
100,000,000
7年目10,000,000
0.933
9,330,000
27,420,000
72,580,000
100,000,000
8年目10,000,000
0.923
9,230,000
18,190,000
81,810,000
100,000,000
9年目10,000,000
0.914
9,140,000
9,050,000
90,950,000
100,000,000
10年目10,000,000
0.905
9,050,000
0100,000,000
100,000,000


収益合計
96,280,000



一般社団法人×民事信託の活用

一般社団法人と事業承継のための信託

一般社団法人と事業承継のための信託

不動産流通税対策

不動産の売買にかかる税金

不動産の売買にかかる税金

信託制度と不動産流通税

不動産売買→信託受益権の売買(=信託設定→受益権売買)

不動産売買→信託受益権の売買(=信託設定→受益権売買)

事業承継のための信託

事業承継のための信託

相続税の納付

連帯納付義務

自分が相続や贈与で貰った財産について相続税や贈与税を払うことは当然ですが、何と他人の税金を払わないといけない場合があります。
相続税や贈与税に存在するこの特異な制度、これを連帯納付義務といいます。

1.ある相続のケース

不幸にして、あなたの兄が亡くなりました。
兄は独身で両親は既に他界。 相続人はあなたと弟。
弟は後継ぎとして不動産を中心に、 あなたは上場株式を主に相続しました。 弟には金融資産の手持ちが殆どなく、 あなたもそれほど裕福では有りません。
あなたは株の売却で何とか納税を済ませました。
4年後、相続のことなど忘却の彼方になろうとしていたある日、 あなたのもとに税務署から書類が届きます。
読むと、弟が相続税を滞納しているとの内容。
それから更に税務署から書類が届きます。
今度は何と、 弟が払うべき相続税をあなたが払えという内容。
しかも相続税に留まらず、 4年分の利子税も含めて.・・・。
弟に文句を言いたい気持ちはさておき、 泣く泣く納税に応じることとなりました。

※4《連帯納付義務》

  1. 「相続税を納付しない場合」とは、本来の納税義務者が物納許可を取り消された、又は延納申請を却下された場合なども該当します。
  2. 被相続人の納付すべき相続税額がある場合及び相続税の課税価格の計算の基礎となった財産を贈与、遺贈又は寄付行為により移転した場合にも、連帯納付義務が生じます。(相続税法第34第2項、第3項)

【連帯納付義務の例】

相続人相続税額相続により受けた利益の価額に相当する金額
配偶者0円5,000万円
子150万円⇒納付済み2,500万円
子250万円⇒未納付2,500万円

※ 子2が未納付の相続税額(50万円)は、配偶者及び子1の2名がそれぞれ相続により受けた利益の価額の範囲内(限度として)で連帯して納付する義務を負います。

2.平成24年度税制改正

この不意打ちともいうべき連帯納付義務、さすがに政府でも問題とされたようです。
平成24年4月1日以降の申告期限に係る相続税のうち、次の相続税については連帯納付義務が解除されることに
なりました。

  1. 相続税の申告期限から5年を経過 + 税務署から納付通知書が来ていない
  2. 納税猶予(農地等、山林、非上場株式)を受けた
  3. 延納を受けた
但し、あくまでも相続税についてですので、贈与税については何も改正されていません。
どうも、贈与をできるぐらいの資力のある方ならば、贈与税の負担ぐらい何でもないだろう、と考えられている節がありそうです。

相続税の納付

延納・物納には厳しい条件がある

延納・物納の条件と流れ

延納が認められる要件
物納が認められる要件
担保にできる財産
物納できる財産と優先順位
延納申請の流れ
物納申請の流れ
延納期間と延納利子税
物納に関わる利子税

相続税の納付(延納)

相続税の納付(延納)
要件

区分

延納期間

(最高)

延納利子税割合

(年割合)

相続税 不動産等の割合が75%以上の場合 ①動産等に係る延納相続税額 10年 5.4%
②不動産等に係る延納相続税額(③を除く) 20年 3.6%
③計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木に係る延納相続税額 20年 1.2%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合 ④動産等に係る延納相続税額 10年 5.4%
⑤不動産等に係る延納相続税額(⑥を除く)15年 3.6%
⑥計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木に係る延納相続税額 20年 1.2%
不動産等の割合が50%未満の場合 ⑦一般の延納相続税額(⑧、⑨及び⑩を除く) 5年 6.0%
⑧立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(⑩を除く) 5年 4.8%
⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額 5年 4.2%
⑩計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木に係る延納相続税額 5年 1.2%
贈与税 延納贈与税額 5年 6.6%

延納・物納することができる金額

※8《納付方法及び申請税額の確認》

1 延納することができる金額(延納許可限度額)の計算方法

①納付すべき相続税額
現金納付額 ②納期限において有する現金、預貯金その他の換価が容易な財産の価額に相当する金額
③申請者及び生計を一にする配偶者その他の親族の3か月分の生活費
④申請者の事業の継続のために当面(1か月分)必要な運転資金(経費等)の額
⑤納期限に金銭で納付することが可能な金額(これを「現金納付額」といいます)(②-③-④)
⑥延納許可限度額(①-⑤)

2 実際の計算に当たっては、延納申請書の別紙『金銭納付を困難とする理由書』に金額等を記入して計算してください。なお、計算の根拠となった資料等の写しを『金銭納付を困難とする理由書』に添付してください。

①納付すべき相続税額
②現金納付額(1の⑤)
延納によって納付することができる金額 ③年間の収入見込額
④申請者及び生計を一にする配偶者その他の親族の年間の生活費
⑤申請者の事業の継続のために必要な運転資金(経費等)の額
⑥年間の納付資力(③-④-⑤)
⑦おおむね1年以内に見込まれる臨時的な収入
⑧おおむね1年以内に見込まれる臨時的な支出
⑨上記1の③及び④
⑩延納によって納付することができる金額{⑥×最長延納年数+(⑦-⑧+⑨)}
⑪物納許可限度額(①-②-⑩)

相続税の納付(延納担保)

※10《担保として提供できる財産の種類》

担保として提供できる財産は、次に掲げる財産であり、この中からなるべく処分の容易なもので、価額の変動のおそれが少ないものを選択してください。

  1. 国債及び地方債
  2. 社債 (特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。) その他の有価証券で税務署長等が確実と認めるもの
  3. 土地
  4. 建物、立木及び登記・登録される船舶、飛行機、回転翼航空機、自動車、建設機械で、保険に附したもの
  5. 鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団、港湾運送事業財団、道路交通事業財団及び観光施設財団
  6. 税務署長等が確実と認める保証人の保証

(注)2 の有価証券のうち、取引相場のない株式については、①相続等により取得した財産のほとんどが取引相場のない株式で、かつ、当該株式以外に延納担保として提供すべき財産がないと認められる場合又は②取引相場のない株式以外に財産はあるが、その財産が他の債務の担保となっており、延納担保として提供するのが適当ではないと認められる場合に限り、担保として提供することができます。

※11《担保として不的確な財産》

担保となる財産は、その担保に係る国税を徴収できる金銭価値を有するものでなければならないことから、 一般的に次に掲げるようなものは担保と して不適格とされます。

  1. 法令上担保権の設定又は処分が禁止されているもの
  2. 違法建築、 土地の違法利用のため建物除去命令等がされているもの
  3. 共同相続人間で所有件を争っている場合など、係争中
  4. 売却できる見込みのないもの
  5. 共有財産の持分(共有者全員が持分全部を提供する場合を除く)
  6. 担保に係る国税の附帯税を含む全額を担保としていないもの
  7. 担保の存続期問が延納期問より短いもの
  8. 第三者又は法定代理人等の同意が必要な場合に、 その同意が得られないもの

相続税の納付(延納)

取引相場のない株式及び投資信託又は貸付信託の受益証券
□供託書正本
【担保にできないもの】

【取引相場のない株式を担保にするための条件】
次のいずれかに該当する場合には、担保とすることができます。

  1. 相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産のほとんどが取引相場のない株式であり、かつ、その株式以外に延納の担保とすべき適当な財産がないと認められること。
  2. 取引相場のない株式以外に財産があるが、その財産が他の債務の担保となっており、延納の担保とすることが適当でないと認められること。

【取引相場のない株式を担保にするための注意事項】
  1. 株券の発行がされていない場合には、会社に対して株式の発行を請求してください。
  2. 譲渡制限が付されている場合には、譲渡について取締役会の承認を受けるなど、譲渡可能としたことを証する議事録の写しを税務署に提出してください。

保証人(個人)
納税保証書
金融機関その他の保証義務を果たすための資力が十分であると認められる者であれば、差し支えありません。

【担保の提供手続】
税務署において、保証人の方の審査を行いますので、特にありません。

【担保の解除手続】
税務署から『納税保証書』を返付します。

相続税の納付(物納)

【新しい物納制度の概要】

金銭納付を困難とする理由書

  • 評価が容易であり、かつ、市場性のある財産で速やかに売却等の処分をすることができるもの
  • 納期限又は納付すべき日において確実に取り立てることができると認められる債権
  • 積立金・保険等の金融資産で容易に契約が解除でき、かつ、解約等による負担が少ないもの
(例)○その他の有価証券等
    出資証券、抵当証券、倉庫証券、貨物引換証、船荷証券、商品券等
   ○預貯金以外の債権で確実な取り立てが可能と認められるもの
    退職金、貸付金・未収金等
   ○ゴルフ会員権等の権利で取引市場が形成されているもの 
   ○養老保険、財産形成貯蓄、生命保険等で解約等による負担が少ないもの
※ 相続税法第41条第2項第1号~4号に掲げる財産は除きます
  1. 一定の収入のある親族については、自己の生活費は自ら負担すべきものとして上記で求めた生活費から差し引いてください。一定の収入がある親族とは、収入があることにより申請者又は配偶者の扶養控除の対象とならない親族をいいます。
  2. 配偶者に収入がある場合は、申請者と配偶者は生活費をその収入の割合に応じて負担するものとして計算してください。
  3. 申請者又は配偶者の扶養控除の対象となっている親族に係る生活費は、申請者と配偶者がそれぞれ収入金額に応じて負担額を按分してください。
金銭納付を困難とする理由書
金銭納付を困難とする理由書

相続税の納付(物納)

<物納の要件>

①延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲であること

②申請財産が定められた種類の財産で申請順位によっていること

③申請書及び物納手続関係書類を期限までに提出すること

④物納適格財産であること

<物納申請財産の選定要件>

①物納申請者が相続により取得した財産で日本国内にあること

②管理処分不適格財産でないこと

③物納申請財産の種類及び順位に従っていること

④物納劣後財産に該当する場合は、他に適当な財産がないこと

⑤物納に充てる財産の価額は、原則として、物納申請税額を超えないこと

物納管理処分不適格財産

物納管理処分不適格財産(例示:不動産の場合)

次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産となります。

【不動産】
  1. 担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産
  2. 権利の帰属について争いがある不動産
  3. 境界が明らかでない土地
  4. 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産
  5. 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの
  6. 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
  7. 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含む)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は二以上の者の共有に属する不動産
  8. 耐用年数(所得税法の規定に基づいて定められている耐用年数をいう)を経過している建物(通常の使用ができるものを除く)
  9. 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産
  10. その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産
  11. 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産
  12. 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産

物納劣後財産

物納劣後不動産(例示:不動産の場合)

次に掲げるような財産は、他に物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り物納に充てることができます。

  1. 地上権、永小作権若しくは耕作を目的とする賃借権、地役権又は入会権が設定されている土地
  2. 法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地
  3. 土地区画整理法による土地区画整理事業等の施行に係る土地につき仮換地又は一時利用地の指定がされていない土地(当該指定後において使用又は収益をすることができない土地を含む)
  4. 現に納税義務者の居住の用又は事業の用に供されている建物及びその敷地(当該納税義務者が当該建物及びその敷地について物納の許可を申請する場合を除く)
  5. 劇場、工場、浴場その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地
  6. 建築基準法第43条第1項に規定する道路に2メートル以上接していない土地
  7. 都市計画法の規定による都道府県知事の許可を受けなければならない開発行為をする場合において、当該開発行為が開発許可の基準に適合しないときにおける当該開発行為に係る土地
  8. 都市計画法に規定する市街化区域以外の区域にある土地(宅地として造成することができるものを除く)
  9. 農業振興地域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において農用地区域として定められた区域内の土地
  10. 森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地
  11. 法令の規定により建物の建築をすることができない土地(建物の建築をすることができる面積が著しく狭くなる土地を含む)
  12. 過去に生じた事件又は事故その他の事情により、正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれに隣接する不動産

相続税の納付(物納)

▼物納に充てることができる財産の種類及び順位

順位財産の種類
第1順位国債・地方債・不動産・船舶・株式・社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの
第2順位株式・社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されていないもの、または貸付信託の受益証券
第3順位動産(自動車、家具など)
▼物納に充てることができる財産の種類及び順位

 物納制度については、「借地人に賃貸している貸宅地は物納できない。」などとった誤解をよく耳にしますが、借地人がいることを理由に収納されないということはありません。あくまでも、物納財産の選択は、物納不適格財産・劣後財産に該当しない限り、その選択権は納税者に委ねられていますので、金銭納付が困難な場合に、国は物納申請されたものが、物納適格要件を満たす不動産であれば収納してくれます。

取引相場のない株式の物納

改正前

次のいずれかの要件を満たさなければ物納ができなかった

○業績要件が整っており、売払いが 確実に見込まれるなど、経営内容 等から収納を適当と認める場合
○買受確認書が提出されている場合

改正後

上記に関係なく、譲渡制限株式以外なら物納できる

(注)ただし、一定の規模以上の売出しを行う場合には、証券取引法上の手続きが必要。

取引相場のない株式の物納
相続金庫株のイメージ図
自社株物納のイメージ図

物納管理処分不適格財産(例示:不動産の場合)

次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産となります。

【不動産】
  1. 担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産
  2. 権利の帰属について争いがある不動産
  3. 境界が晃撫でない土地
  4. 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産
  5. 他の土地に囲まれて行動に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの
  6. 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
  7. 他の不動産(ほかの不動産の上に存ずる権利を含む)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は二以上の者の共有に属する不動産
  8. 耐用年数(所得税法の規定に基づいて定められている耐用年数をいう)を経過している建物(通常の使用ができるものを除く)
  9. 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産
  10. その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して課題となると見込まれる不動産
  11. 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産
  12. 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産

物納劣後不動産(例示:不動産の場合)

次に掲げるような財産は、他に物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り物納に充てることができます。

  1. 地上権、永小作権若しくは耕作を目的とする貸借権、地役権又は入会権が設定されている土地 
  2. 法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地 
  3. 土地区画整理法による土地区画整理事業等の施行に係る土地につき仮換地又は一時利用地の指定がされていない土地(当該指定後において使用又は収益をすることができない土地を含む) 
  4. 現に納税義務者の居住の用又は事業の用に供されている建物及びその敷地(当該納税義務者が当該建物及びその敷地について物納の許可を申請する場合を除く) 
  5. 劇場、工場、浴場その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地 
  6. 建築基準法第43条第1項に規定する道路に2メートル以上接していない土地 
  7. 都市計画法の規定による都道府県知事の許可を受けなければならない開発行為をする場合において、当該開発行為が開発許可の基準に適合しないときにおける当該開発行為に係る土地
  8. 都市計画法に規定する市街化区域以外の区域にある土地(宅地として造成することができるものを除く)
  9. 農業振興地域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において農用地区域として定められた区域内の土地
  10. 森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地
  11. 法令の規定により建物の建築をすることができない土地(建物の建築をすることができる面積が著しく狭くなる土地を含む)
  12. 過去に生じた事件又は事故その他の事情により、正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれに隣接する不動産

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