法定相続分に応じた取得価格 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | - |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
妻 : 1億円×30%-700万円=2300万円
子A:5000万円×20%-200万円= 800万円
子B:5000万円×20%-200万円= 800万円
2,300万円 + 800万円 + 800万円 = 3,900万円 相続税の総額は、 3,900万円 |
配偶者の税額軽減
税額控除額 = 法定相続相当分と1億6000万円のいずれか大きい額…a
暦年課税の贈与税控除/控除額=すでに支払った過去3年分の贈与税額のうち相続税の課税対象分
相続時精算課税制度を利用/控除額=制度の利用で支払った贈与税額
未成年者控除 10万円 ×<20歳までの年数>=税額控除額
障碍者控除 10万円※ ×<85歳までの年数>=税額控除額
※特別障害者は20万円
●一次相続
父が被相続人、相続財産3億円。法定相続人は母と子(1人)、母が全額相続。相続税額は3525万円
●二次相続
一次相続の5年後。母が被相続人、相続財産2億5000万円、法定相続人は子(1人)、子が全額相続。相続税額は5900万円
相続財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(父母または子)および配偶者以外の人である場合、その相続税額の20%に相当する金額を加算することになっています。これを「相続の2割加算」といいます。
主に、孫、兄弟姉妹、おい、めいなどが相続人となった場合、2割加算の対象となります。ただし、孫の場合、代襲相続人であれば2割加算の対象外です。
また、養子は子に含まれるため対象外ですが、孫が養子になっている場合は、2割加算の対象となるため、注意が必要です。
「すべての土地に係る」→「その者が譲渡した土地に対応する」相続税相当額に変更 |
譲渡した資産が土地等※である場合 | 譲渡した資産が土地等※以外の資産である場合 | |
計算式 | 「譲渡所得の計算上取得費に加算する相続税額 = A × C / B」 A = その者の相続税額 B = その者の相続税の課税価格(債務控除前) |
|
改正前 | C=その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた全ての土地等の価額 | C=その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した資産に対応する価額 |
改正案 | C=その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した土地等に対応する価額 | 改正なし |
※借地権を含む。また、相続時精算課税適用財産、3年内加算適用財産を含む。
・平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した土地等を譲渡する場合について適用される。
小規模宅地等の特例とは
小規模宅地等の特例とは、相続税の計算上、被相続人等の自宅や事業用の敷地の評価について、一定の要件のもと高額な減額が認められているものです。
これは、自宅や事業用の敷地に相続税をまともに課したのでは、居住や事業を継続できなくなってしまう恐れがあるためです。
小規模宅地等の特例を受けられるかどうかチェック |
どのくらい拡大される?(平成27年1月1日以降) |
相続開始直前の利用状況ごとに、下記の通り「取得者」が定められています。
1. 被相続人の自宅の敷地
(1)配偶者
取得すれば要件を満たします。すぐに売却しても適用が受けられます。
(2)相続開始前から同居している親族(配偶者を除く)
相続税の申告期限まで居住し所有を継続する必要があります。
(3)相続開始直前に被相続人と同居していた法定相続人がいない場合には、別居の親族
相続開始前3年以内に日本国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがない人です。この人は、居住しなくても申告期限まで所有していれば適用を受けられます。
2. 被相続人と生計を一にしていた親族が居住していた家屋の敷地
(1)配偶者
上記「被相続人の自宅の敷地」の場合の(1)と同じです。
(2)その生計一親族
申告期限まで居住し所有を継続する必要があります。
3. 被相続人の事業用地又は被相続人の生計一親族の事業用地
(1)被相続人の事業用地は親族
申告期限まで事業・所有を継続する必要があります。
(2)被相続人の生計一親族の事業用地はその生計一親族
申告期限まで事業・所有を継続する必要があります。
4. 特定同族会社の事業用地
申告期限までにその法人の役員になっている親族。申告期限まで所有を継続している必要があります。
高額な減額がある小規模宅地等の特例は、被相続人等の居住用や事業用の宅地等(借地権を含む)で一定の要件に該当するものについてのみ適用が受けられます。
要件は下記の2つです。これらの要件のいずれも満たしていなければ適用は受けられません。
1. 相続開始直前の利用状況
2. 取得者
相続税の小規模宅地等の特例が受けられる事例(具体例)は下記の通りです。
相続開始直前の利用状況はどうだったのか、取得者は誰か、この2点についてもう少し詳しく確認します。まずは「相続開始直前の利用状況」です。
要件は、被相続人等(被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族を含む)の居住用又は事業用(事業には、不動産賃貸事業や特定同族会社(相続開始直前に被相続人及び親族その他特別の関係がある者が有する株式の総数が発行済株式の総数の50%を超える法人)の事業を含む)の建物または構築物の敷地として利用されていたことです。
例えば、被相続人の自宅・アパート・貸駐車場(アスファルトなどの設備があるもの)・事業所の敷地です。したがって、別生計の子の居住用・事業用の宅地や空き地では適用は受けられません。
財産額が確定すると、「相続税の総額」を計算しますが、税務署はこの財産の額と法定相続人の数から、機械的に税額をはじき出すのです。
具体的には、法定相続人が法定相続分通りに相続したものとして、各相続人ごとに税率を乗じて税額を算出。ここで計算された各人の税額を合計したものが「相続税の総額」で、基本的にはこれが全員で納めるべき税額となります。この方法だと、誰がどういう風に財産を分けても、分け方によって税務署の取り分は変わらず、常に同じ額の税額を確保できる仕組みになっているのです。
さて、小規模宅地の評価減の特例ですが、例えば長男が自宅敷地を相続してこの適用を受けても、次男が貸付用敷地を相続して適用を受けても、相続税の総額は必ず減額されるでしょう。
勿論、適用の仕方で減額される額そのものは異なる事にはなります。ご自宅と貸付用の土地では路線価も違うでしょうし、減額割合も80%と50%と異なるからです。
今、相続税の総額は金額こそ異なるものの、誰がどのように適用しても、総額自体は減額されると言いました。
しかし、その税額は誰がどのように負担するのでしょうか。それは実際の相続分の按分計算なのです。つまり例えば3人の相続人が5:3:2で相続財産を分けたら、税負担も5:3:2になるのです。
そして、この5:3:2の計算は上記の特例の適用後の金額で行う事になっているのです。
つまり、本来は1億円の評価の土地が、この特例で80%になり2,000万円で評価されたらどうでしょう。この按分計算でも本当は1億円相続しているのに、2,000万円分の相続をしたことにしかならず、非常に"得"をするのです。
そうだとすれば、誰だって自分が相続した財産に適用したいと思うのは当然でしょう。しかし、通常は相続税の総額を先ずは最小限にする事を優先のするではないでしょうか。最少額になった税額なら、全員が負担の減少につながるのですから。
本資料は平成29年5月1日現在の税制に基づいて作成しております。また内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な法律・税務上の取り扱いを記載しております。
このため、諸条件により本資料の内容とは異なる取り扱いがなされる場合がありますのでご留意ください。
対策の立案・実行は税理士・弁護士の方々と十分ご相談の上、ご自身の責任においてご判断くださいますようお願い申し上げます。