分割の方法 | 内容 |
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現物分割 [民法258②] | 遺産を現物のまま分割する方法で、分割の原則的方法 |
代償分割 [家事事件手続法 第195条] | 共同相続人の一人又は数人が相続により財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人に対し債務を負担する分割の方法 |
換価分割 [家事事件手続法 第194条 家事事件手続規則 第103条] | 共同相続人の一人又は数人が相続により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し、その換価代金を分割する方法 |
遺産分割には3つの方法がある |
相続人全員が参加して遺産分割協議を行った後、そこで決まった分割案を文章にして書きとどめたもの
遺産分割協議書
被相続人甲(昭和○年○月○日生)の平成○年○月○日死亡により開始した相続の共同相続人であるA、Bの間で次の通り遺産分割の協議をした。
1、相続人Aは以下の財産を相続する。
所在 ◯◯市栄根二丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 200㎡
所在 ◯◯市栄根二丁目○番地○
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造瓦葺平家建
床面積 200㎡
2.相続人Aは、第一項に記載の遺産を取得する代償として、Bに対し、金1,500万円を平成○年○月○日までに支払うものとする。
平成○○年○○月○○日
全相続人の住所・氏名を記載、実印で押印
相続した土地を共有する場合、およそ次の3つのパターンがあります。
1.善意によって土地を共有するケース
これは、相続人相互の関係が良好で、民法に定められた法定相続分通りに遺産分割を行うのが、最も公平でトラブルがないと全員が思っている場合です。
2.利用方針が決まっていない土地を共有するケース
このケースの多くは「当面は利用方針も決まっていないから」などの理由で共有するのですが、不動産を取り巻く環境は流動的です。遺産相続分割時点で問題がなくても、将来にわたって大丈夫という保証はありません。
3.相続人(特に子供)が複数いるために土地を共有するケース
これは、遺産が被相続人の居住用の土地・建物だけで、分割できる大きさではないのに、相続する子供が複数の場合です。特に、被相続人と同居している子供に対して、同居していない兄弟の相続権に関する権利意識が強い場合などに多く見られます。
提出期限までに遺産が未分割の場合のデメリット
1. 配偶者の税額軽減が適用されない
法定納期限にいったん税金を納付することになります(3年内に分割協議が成立したら、「還付請求申告書」による更正の請求を行えば、納付税額の還付を受けることができます。)。
2. 物納予定財産が未分割の場合、物納が許可されない
物納予定財産が未分割ということは、相続人全員の共有とみなされ、管理又は処分をするのに不適当と認められ(相法42(2)、相基通42-2)、物納は認められません。ただし、共有者全員が持分の全部を物納する場合は除きます。
3. 納税猶予の特例の不適用
納税猶予の対象となる農地等は、相続税の申告期限までに分割されていることが必要であり、未分割の場合は、納税猶予の特例が適用されないことになります。
4. 小規模宅地等の課税の特例の不適用
平成6年1月以降の小規模宅地等の特例の適用に当たっては、当該宅地を取得した相続人に対する要件も付加されました。したがって、遺産が未分割の場合には、この特例の適用が受けられなくなりました。ただし、申告期限後3年以内に分割された場合には、更正の請求書を提出することにより特例の適用を受けることができます。
遺留分の請求は、遺留分の侵害を知ってから1年以内に行わなければなりません。知らない場合でも、相続の開始から10年で権利を失うことになります。 |
1.配偶者と子が相続人の場合の遺留分割合 |
2.配偶者と父母(直系尊属)が相続人の場合の遺留分割合 |
※ 配偶者が死亡している場合は父母は各6分の1ずつ相続する |
3.配偶者と兄弟姉妹がいる場合の遺留分割合 |
※ 兄弟姉妹は遺留分なしとなります |
『遺留分算定の基礎となる財産額』を求める
(注)計算に加える生前贈与財産は、次のとおりです。
① 相続開始前1年以内になされた贈与は、無条件でその価額を算入します(民法1030条)
② 相続開始前1年以上前になされた贈与は、贈与者・受贈者の双方が遺留分権利者に損額を与えることを承知したうえでなされた場合には、何年前でもその価額を算入します(同条)
③ 特別受益として受けた贈与は、すべて算入します(平成10年3月24日最高裁判決)
④ 市価よりも非常に安い価格で売買されたようなケースでは、その差額を実質的に贈与として算入します
特別受益となるもの
①遺贈・死因贈与
遺贈は相続時に遺言で与えられるものであり、常に特別受益となります。
②新婚、養子縁組のための贈与
持参金、嫁入り道具等の持参財産、支度金等。(結納金・挙式費用は通常は含まない。)
③生計の資本としての贈与
・独立に際しての営業資金
・住居の新築資金
・新築のための土地の贈与
・大学に行くための学費等
④生命保険金
学説・判例は、原則的には指定された「生命保険金」は受取人固有の権利であり特別受益に該当しないとしています。
但し、その金額や遺産に占める割合が大きい場合等は、共同相続人間の公平を期す意味から特別受益に準じて持ち戻しの対象にすべきとしています。
相続人間での話合いがつかなければ、家庭裁判所に調停あるいは審判の申立てをすることになります。
被相続人から、①遺贈、②婚姻・養子縁組のための贈与、③生計の資本としての贈与をうけた者
遺贈された財産はその目的を問わず、すべて特別受益として持ち戻しの対象になります。しかし、「婚姻・養子縁組のためもしくは生計の資本として」贈与された財産が特別受益になるのかどうかについては、被相続人の資産・収入、社会的地位、その当時の社会的通念を考慮して個別に判断すべきものとされています。平たくいえば、遺産の前渡しといえるかどうかが一つの判断基準となるようです。
(例)・婚姻の際持参金をもらった。
※結納金、挙式費用は特別受益にあたらないとされています。
・独立して事業を始めるときに開業資金を出してもらった。
・家を建ててもらったり、住宅取得資金を出してもらった。
・私立の医科大学への多額の入学金を出してもらった。
特別受益とならないもの
遺産の前渡と見なされないような小額な贈与のほか、次の場合は持ち戻しの必要はない。
推定相続人が複数いる場合、後継者に自社株式を集中して承継させようとしても、遺留分を侵害された相続人から遺留分に相当する財産の返還を求められた結果、自社株式が分散してしまうなど、事業承継にとっては大きなマイナスとなる場合があります。
この民法特例を活用すると、後継者を含めた現経営者の推定相続人全員の合意の上で、現経営者から後継者に贈与等された自社株式について、
① 遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)、又は、
② 遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時に固定(固定合意)※をすることができます。
5.遺留分に関する民法の特例制度の概要
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」 |
(以下「円滑化法」といいます。また、同法の施行令と施行規則をそれぞれ「円滑化令」と「円滑化規則」といいます。)
が、平成20年5月9日に第169回通常国会において可決・成立しました。この法律は、
①遺留分に関する民法の特例
②事業承継時の金融支援措置
③事業承継税制の基本的枠組み
を盛り込んだ事業承継円滑化に向けた、総合的支援策を基礎としています。
(3)「除外合意」と「固定合意」
円滑化法は、これまでの遺留分制度による制約を解決するため、後継者が旧代表者からの贈与等により取得した自社株式(完全無議決権株式を除きます。)又は持分(以下、この章において、無議決権株式を除く株式又は持分を「株式等」といいます。)について、旧代表者の推定相続人のうち1人が後継者である場合には、その推定相続人全員の合意をもって、書面により、次の内容の定めを可能とする特例制度を創設しました。(円滑化法4①)
イ「除外合意」(円滑化法4①一)
【 条文 】
当該後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した当該特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと。 |
イ「除外合意」(円滑化法4①一)
ロ「固定合意」(円滑化法4①二)
【 条文 】
前号に規定する株式等の全部又は一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を当該合意の時における価額(弁護士、弁護士法人、公認会計士(公認会計士法(昭和23年法律第103号)第16条の2第5項に規定する外国公認会計士を含む。)、監査法人、税理士又は税理士法人がその時における相当な価額として証明したものに限る。)とすること。 |
特 別 養 子 | 普 通 養 子 | |
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養親の制限 | 満25歳以上の夫婦で共に養親 | 成人である者 |
養子の制限 | 原則として6歳未満 | 養親より年少者 |
縁組の手続 | 家庭裁判所の審判が必要 | 養子が未成年者でなければ当事者の届出のみ |
実親等の同意 | 実父母の同意が必要 | 養子が満15歳未満のときは、法定代理人が承諾をする。 |
親子関係 | 実方との親族関係は終了する。 | 実方の親族関係は存続する。 |
戸籍の記載 | 養子との文言の記載がない。 | 養子と明記される。 |
離縁 | 家庭裁判所の審判が必要 養親からの請求不可 | 当事者の協議で可能。養子、養親のいずれでも訴え提起可。 |
相続税の基礎控除の計算上
(1) 被相続人に実の子供がいる場合1人までです。
(2) 被相続人に実の子供がいない場合2人までです。
養子縁組をすることによる相続税のメリット
(1) 相続税の基礎控除(非課税枠)が増える
(2) 生命保険金の非課税枠が増える
(3) 死亡退職金の非課税枠が増える
養子縁組をすることによる相続税のデメリット
(1) 遺産分割がまとまらず、相続税法で認められている相続税を優遇する制度が使えない可能性がある
(2) 孫を養子にすると相続税が20%増
(3) 相続税の計算上、養子が認められないことも
被相続人甲には、妻乙との間に実子Bがおり、既に死亡した実子Aには子Cがいます。また、甲は妻乙とともに孫Cを養子にしています。
祖父が被相続人である場合、養子となっている代襲相続人の孫は、養子としての相続分と代襲相続人としての相続分を合わせて取得するのが実務先例です。
例)相続財産2億5000万円の場合
相続人が子ども2人の場合 |
課税遺産は 2億5000万円-基礎控除4200万円=2億800万円 (子ども1人の法定相続分:1億400万円) 子どもA・Bの相続税額は 各1億400万円×40%-1700万円=2460万円 2460万円×2人=4920万円 |
相続人が3人になった場合 |
課税遺産は 2億5000万円-基礎控除4800万円=2億200万円 (1人の法定相続分:6733万3000円) 子A・B、養子Cの相続税額は 各6733万3000円×30%-700万円=1319万9900円 1319万9900円×3人=3959万9700円 |
約960万円の節税 |
※病院・診療所に入院中または入院を予定されている場合は契約いただけません。
※ライフギフトにも加入可能な年齢のお客さまに(50~70歳)には、告知・診査を行うことで、保険金・解約払戻金がより有利な商品であるライフギフトに加入いただける場合があることを必ずご案内ください。
※70歳以上のお客さま(個人事業主を含む個人契約者)や76歳以上の非保険者の申込の際は、高齢者の新契約手続き ルールに沿った対応を実施してください。
被保険者 | 保険料の支払人 (契約者) | 保険金の受取人 | かかる税金 | |
① | - | 夫 | 夫 | 夫に所得税・住民税 |
② | - | 夫 | 妻 | 妻に贈与税 |
生命保険金
メリット1 「500万円×法定相続人」分が非課税になる たとえば、法定相続人が2人の場合、1,000万円分が非課税になります。 |
メリット2 保険金の受取人を指定できる 死亡保険金は、受取人固有の財産となるので、遺産分割協議の対象外。 誰にいくら残したいかを事前に決めておけるのは、大きな魅力です。 |
メリット3 死亡保険金を現金でもらえる 相続財産は、不動産など現金以外のものも多くそれらを相続した場合でも、納税は基本的には現金で行わなければなりません。そんなとき、保険金としての現金は大いに役立ちます。 |
たとえば、法定相続人が3人の場合 500万円×3人=1500万円
相続税非課税枠の活用
[例] 契約者・被保険者:被相続人
受取人:相続人3人(配偶者および子2人)
死亡保険金 5,000万円の場合
小規模企業共済制度
小規模企業共済制度は、小規模企業の個人事業主(共同経営者を含む)または会社等の役員の方が事業をやめられたり、退職されたりした場合に、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておく共済制度です。いわば「経営者の退職金制度」といえます。
Q.この制度の対象者は? 以下の方々が、小規模企業共済制度に加入ができます。
①「事業の経営において重要な意思決定をしている、または事業に必要な資金を負担している」 ②事業の執行に対する報酬を受けている」 |
Q.掛金の税務法上のメリットは? 掛金の金額は「小規模企業共済等掛金控除」扱いとなり、課税対象所得から控除できます。 (1年以内の前納掛金も同様です) |
Q.税法上の共済金? 「一括」「分割(10年・15年)」「一括と分割の併用」のいずれかから、共済金の受取方法を選ぶことが可能です。税法上、一括受取による共済金は「退職所得扱い」、分割受取による共済は「公的年金等の雑所得扱い」となります。 |
小規模企業共済制度
Q.掛け金はいくらかかりますか? 以下の方々が、小規模企業共済制度に加入ができます。 掛金月額は1,000円~70,000円の範囲で(500円単位)自由に選べます。 減額には一定の要件が必要になりますが、加入後も掛金月額の増額・減額が可能です。 払い込み方法は「月払い」「半年払い」「年払い」から選べます。 |
(70,000円×12ヵ月)×43%=361,200円 (1年間の節税額) |
Q.共済金の受け取り方法は? 共済金には満期はなく、廃業時・退職時に受け取ることが出来ます。 ※共済金等の請求事由が生じても、特定の要件に該当すれば、所定の手続きをすることによって、共済金等を受け取らずに、それまでの掛金納付月数を通算して共済契約を続けることが可能です。 |
500万円×4人=2,000万円まで非課税 |
■掛金の全額所得控除による節税額の一覧表
退職金の計算方法としては一般的に功績倍率方式があります。同規模・同業他社の功績倍率を参考に上記算定式によって役員退職金の適正額を算出します。適正額までは、法人の損金に算入できます。実際には顧問税理士などと相談の上、支給基準を定めます。
弔慰金とは
慶弔金の必要性 |
弔慰金は、支払った会社にとっては損金、受け取った遺族にとっては非課税財産になります。遺族に支払う際に、死亡保険金の名目だけで支給するのと一部を弔慰金で支給するのとでは、総額が同じでも相続財産に加算される額は異なりますので、弔慰金を有効に活用しましょう。
死亡時の退職金の必要性 |
経営者の死亡は残されたご家族にとっては一家の大黒柱を失うことです。ご遺族の方の生活保障や相続対策のためにも死亡退職金などは必要です。上場企業の会社員や公務員では死亡退職金や弔慰金などが支給される場合がほとんどですが、中小企業の経営者などは、死亡時の業績や借入金などの整理などに左右され、支給されないケースも多くあります。
保険種類:定期保険 長期平準定期保険 逓増定期保険 終身保険
経営者を含む役員全員に対して保険の準備が必要
役員退職慰労金規程の作成が必須
相続税の納税猶予制度の概要 |
本資料は平成29年5月1日現在の税制に基づいて作成しております。また内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な法律・税務上の取り扱いを記載しております。
このため、諸条件により本資料の内容とは異なる取り扱いがなされる場合がありますのでご留意ください。
対策の立案・実行は税理士・弁護士の方々と十分ご相談の上、ご自身の責任においてご判断くださいますようお願い申し上げます。