生前なら「誰にでも」「いつでも」「いくらでも」OK! |
贈与は口頭の約束でも成立するが…
☑ 贈与は財産をあげる人と、もらう人の合意があってこそ、成り立つ契約
☑ 贈る財産は金銭だけとは限らない
☑ 税金面で贈与と認められるには、あげた財産をもらった人が管理していることが重要
☑ 贈与の事実を証明する契約書もあるといい
☑ 扶養義務者からもらう生活費や教育費は非課税
☑ お祝い金や香典なども、一般的には非課税
☑ 贈与されたつもりはなくても、「みなし贈与財産」として贈与税の対象になるものもある
☑ 贈与税は個人から受け取る財産が対象で、法人からの贈与は、一時所得になる
●女性は一生のうちに相続を6回迎える?!
親の相続を4回済ませ、次に夫の相続を経験するのが一般的 |
相続税法には相続税と贈与税の2つの税目についての規定がありますが、この相続税や贈与税の仕組みを理解する上で密接に関係する法律に民法 (特に相続編)があります。
相続に伴うおもな手続きと期限 |
1.概要
相続が開始した場合、相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に、単純承認、限定承認又は相続放棄をしなければなりません。もっとも、この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、なお、単純承認、限定承認又は相続放棄のいずれをするかを決定できない場合には、家庭裁判所は、申立てにより、この3か月の熟慮期間を伸長することができます。 |
区 分 | 内 容 | ||
---|---|---|---|
相続人の意思表示 | 相続受諾 (相続の承認) |
単純承認 | 無限に被相続人の権利義務を承継するとする意志表示 |
限定承認 | 相続によって得た財産の限度で被相続人の債務及び遺贈の義務を負担するとする意志表示 | ||
相続拒否 (相続放棄) |
はじめから相続人にならなかったこととする意思表示 |
(法定単純承認) みなす |
① | 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。 |
② | 相続人が考慮(熟慮)期間(3か月間)内に限定承認又は放棄をしなかったとき。 | |
③ | 相続人が限定承認又は放棄をした後でも、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを財産目録中に記載しなかったとき。 |
●法定相続人の範囲と優先順位
※認知された子や、養子も法定相続人になれるが、相続税の計算では養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までと制限がある。
◎ 配偶者と親が遺された場合
◎ 子どもも親もいないが、兄弟姉妹がいる場合
相続の状況< 相続人は子ども2人 >
< 母の相続財産 >
自宅(マンション) | 3500万円 |
預金 | 2500万円 |
合計 | 6000万円 |
< それぞれの主張 >
長女の言い分
長女 | 自宅 | 3500万円 |
★寄与分を認めて欲しい | ||
二女 | 預金 | 2500万円 |
二女の言い分
長女 | 自宅 | 3000万円 (6/7) | |
二女 | 自宅 | 500万円 (1/7) | 合計 3000万円 |
預金 | 2500万円 |
★同居のメリットがあったのだから、相続は平等に
被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加につき特別に寄与をした共同相続人
(例)
※相続人でない者、たとえば子の妻が仕事を手伝ったとしても、寄与にはなりません。また、特別の寄与であったというためには、たとえば妻が夫の療養看護に努めることは夫婦の当然の義務ですので、寄与にあたりません。
法改正前 |
法改正後 |
●この法定相続分を譲渡して相続分が無くなった場合
「長男Bが生前被相続人Aから多くの不動産の生前贈与を受けていたことが判明したので、これに対する遺留分減殺請求が出来ませんか」
法定相続分とは相続開始時に被相続人に帰属していた財産についての共有持分権です。これに対し、遺留分減殺請求権は、生前贈与或いは遺贈によって相続開始時に被相続人の財産でなくなっていた財産に対する一定割合の回復を求める権利ですから、理論上は、相続分を譲渡しても遺留分減殺請求権まで失うことはないはずです。この問題についての判例は現時点では見出せません。
●相続放棄していた場合
相続放棄は民法第939条(相続の放棄の効力)で「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」と規定され、また遺留分減殺請求権については、民法第1028条(遺留分の帰属及びその割合)で「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。」と規定されていますので、相続人でなくなった以上は、当然、遺留分減殺請求権も無くなります。
「相続」と「遺贈」の違いはなんでしょうか。
相続とは、なんら手続きを経ることなく当然に、 被相続人の財産が相続人に引継がれることをいいます。
これに対し、遺贈というのは、遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を贈与することをいいます。
一般的に遺言書では相続人以外の者に遺産を与える場合に「遺贈する」という表現をしますが、相続人・法人に対しても遺贈することはできます。
遺贈の種類
一つは、「全財産を贈与する」とか、「遺産の4分の1を与える」というように一定の割合を示してする遺贈を 包括遺贈 といい、一つは、「甲土地を妻Bに与える」というように特定の財産を指定してする遺贈を 特定遺贈 といいます。
注意すべきは、包括遺贈は相続財産の個々の物件に対してのものではなく、全体に対する割合です。たとえば、A土地の2分の1を遺贈するというのは、全体に対する割合ではなく、特定の物件に対する割合ですから、これは特定遺贈(特定物の不特定遺贈)です。
法定相続人でない者への包括遺贈の場合の場合、遺産分割協議に受遺者も加わることになります。そのため、他の相続人から反感を招くことも往々にしてありますので、特定遺贈にしておいた方がもめないといえます。
「遺贈する」と「相続させる」の相違
負担付遺贈
たとえば、「自分の土地・建物を遺贈する代わりに、妻が死亡するまで扶養すること」といった遺言を残すことです。このように、受遺者となる者に、相続人や第三者のために一定の負担を課すのが特長ですが、受遺者は、遺贈の目的の価格を超えない限度でその負担を履行すればよいことになっています。
受遺者が負担を履行しない場合、他の相続人が、相当の期間を定めて履行を催促し、その期間内に履行がないときは、家庭裁判所に遺言の取消を請求できることになっています。
負担付遺贈のほか、条件付、期限付の遺贈も可能です。
■ 遺言の有無(2013年)
■ 一次相続から二次相続への期間(2010~2013年の平均)
6.遺言書の検認と開封
遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なくその遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(民法1004《遺言書の検認》①)。
公正証書による遺言は、公証人によって公の記録が残されていますので、検認の手続をする必要はありません(民法1004②)。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いをもってしなければそれを開封することができないことになっています(民法1004③)。 |
(注)検認は検証ないし証拠保全手続であり、実質的な遺言内容の真否や効力の有無を判定するものではありません。したがって、検認の手続を経た遺言書でも、後にその効力を争うことは可能ですし、逆に検認手続を経ないからといって、遺言書の効力が左右されるものではありません。
遺言書作成の順序 (民法969) |
① | 遺言に当たっては、2人以上の証人が立ち会うこと(未成年者その他の無能力者やその遺言についての利害関係人などは証人になることができません(民法974《証人及び立会人の欠格事項》) |
② | 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(遺言者が口がきけない者である場合には遺言者は公証人及び証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述又は自書)すること。 | |
③ | 公証人が遺言者の口述(遺言者が口がきけない者である場合には、通訳人の通訳による申述又は自書)を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させること。 ※遺言者が耳が聞こえない者である場合には、通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えることで読み聞かせに代えることができます。 |
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④ | 遺言者及び証人が筆記の正確なことを証人した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。 | |
⑤ | 最後に公証人が、その証書は上記に掲げた方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。 |
死因贈与契約の有効活用 (遺言と同じ効果)
本資料は平成29年5月1日現在の税制に基づいて作成しております。また内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な法律・税務上の取り扱いを記載しております。
このため、諸条件により本資料の内容とは異なる取り扱いがなされる場合がありますのでご留意ください。
対策の立案・実行は税理士・弁護士の方々と十分ご相談の上、ご自身の責任においてご判断くださいますようお願い申し上げます。