成年後見と民事信託の比較

認知症と成年後見制度

本人の意思能力喪失(認知症等)で、資産の処分はできなくなる

◎各種契約行為の中断(金銭消費貸借契約、請負等)
◎不動産、預貯金、自社株等の資産の実質凍結化

成年後見制度を利用する場合

◎本人の財産を本人のために維持管理することが目的
 (原則、借入や担保提供不可)
◎株式など有価証券投資、不動産投資等の積極資産運用凍結
◎取締役の欠格事由(成年後見、保佐)に該当し、退任
◎自社株の議決権行使を経営の専門外の成年後見人に任せる?
 成年後見人は身上監護・財産管理が役割
◎家族(子、孫)への贈与(お年玉、お小遣い)もできない。
 贅沢禁止

認知症対策としての成年後見制度と民事信託の比較①

本人が認知症になると生前贈与、遺言作成等の生前の資産承継対策のほか、預貯金の引出、不動産の処分などの財産管理を親族が行うことができなくなります。認知症後の対応方法と認知症となる前の対策として以下の制度があります。

①成年後見制度(認知症後の対応方法)

「本人のため」に財産をしっかり守る。

本人の財産管理は家庭裁判所の監督のもと、成年後見人が行います。成年後見人は家庭裁判所に対し、定期的に本人のために行った財産管理の内容を報告する義務があり、本人が亡くなるまで成年後見人の仕事は続きます。

〇メリット

  • 成年後見人等が財産管理を行うことができる。
  • 悪質業者のセールスなどがあった場合に、契約後に取り消すことができる。
  • ヘルパーの依頼、入院契約、施設との契約を代理で行うことができる。

✖デメリット

  • 家族が成年後見人となった場合、事務処理が煩雑(就任後1ヶ月以内の財産目録作成、1年に1回の定期報告など)
  • 財産管理は、本人にとって本当に意味のある合理的な支出しか認められず、相続人や家族のメリットのあるような行為、例えば、相続対策としての生前贈与、生命保険契約、投資商品の購入、借入、財産の処分など、相続税対策はできない
  • 家庭裁判所の監督強化

成年後見人は家庭裁判所の職権で選任されるため、親族を成年後見人候補者として成年後見の申立てをしても、財産がある方(例:金融資産が1000万円以上等※平成29年1月現在、将来変わる可能性もあります)については、成年後見人として親族が選任されず、第三者である専門職(司法書士、弁護士等)が選任される可能性が高い。既に、親族が成年後見人になっている場合、現状約1000万円超の預金があると、親族後見人へ、下記の制度利用の促しがくることがある。 

①後見制度支援信託    ②後見監督人の選任

①成年後見制度(認知症後の対応方法)

※原則、成年後見人の辞任はできないが、「正当な理由」と「家裁の許可」によって辞任ができる(民法844条) 。
 正当な事由がある場合には、家庭裁判所へ「成年後見人辞任許可審判申立」を行う。(過去認められた例:「遠隔地への転勤」「うつ病になった」等) 

認知症対策としての成年後見制度と民事信託の比較②

②任意後見制度(認知症前の対策)

成年後見制度と同様に「本人のため」に財産をしっかり守る 

 元気なときに任意後見契約をしておくことで、本人が判断能力喪失時に任意後見監督申立てをすることで任せた人(任意後見人)が任意後見人に就任し、本人の財産管理を行うことができますが、財産管理は家庭裁判所で選任された任意後見監督人のもとで、任意後見人が行います。そのため、成年後見制度と同様に資産が凍結し、柔軟な資産管理はできません。また、任意後見監督人の報酬が成年後見人と同様にかかります。

②任意後見制度(認知症前の対策)

③民事信託(認知症前の対策)

財産を持っている人が元気なときに、信頼できる相手に、自分の財産の管理や処分をする権限を託す

 元気なときに信託契約を締結しておくことで、任せた人(委託者)が病気や事故、認知症等で判断能力を喪失しても、託された人(受託者)が一切影響を受けずに、財産管理や相続税対策を継続できます。家庭裁判所等への報告義務もなく、親族間だけで完結させることも可能です。受託者に対して報酬を設定するかどうかも自由です。また、遺言と同じように資産の承継先も決めることができ、更に2次相続、3次相続以降の資産承継先を定めることができます(受益者連続型信託)。

③民事信託(認知症前の対策)

成年後見制度と民事信託

①成年後見制度を活用した場合

①成年後見制度を活用した場合

②民事信託を活用した場合 → 財産の分別機能

②任意後見制度(認知症前の対策)
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