法律で定められた事項について
遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的とし
遺言者が単独で、法律で定められた方式で行う
相手方のない意思表示
生前贈与…契約(贈与者と受贈者) 遺言…単独行為(遺言者) |
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
概要 | 公証人役場で、2名の証人の迄遺言内容を公証人に申し述べ、公証人が遺言書を作成する。 | 自書で遺言書を作成し、日付、氏名を記入の上押印する。 |
メリット | ◎公文書として、強力な効力を持つ。 ◎公証役場で保管されるので、紛失や盗難のおそれがない。 ◎家庭裁判所における検認手続きは必要なく、死後すぐに遺言の内容を実行できる。 | ◎手軽でいつでもどこで書ける。 ◎誰にも知られずに作成できる。 ◎費用が掛からない。 |
デメリット | ◎印鑑証明書、証人2名など若干手続きがかかる。 ◎遺言内容が証人2名から漏れる恐れがないとは言えない。 ◎費用がある程度かかる。 | ◎方式不備により無効になりやすい。 ①遺言の全てを自分で書く ②遺言を作成した年月日を書く ③署名する ④押印する(実印が望ましい) ※上記1つでも漏れていると無効 ◎遺言能力が争われたり、内容が不完全なため遺言者の意図した効果が実現できないこともある。 ◎紛失や偽造、変造、隠匿のおそれがある。 ◎家庭裁判所での検認手続きが必要である。 |
※秘密証書遺言については、割愛しています。
◎相続人の廃除とその取消(民法893条)
◎相続分の指定と指定の委託(民法902条)
◎特別受益者の持ち戻し免除(民法903条3項)
◎遺産分割方法の指定とその委託、分割禁止(民法908条)
◎分割に関する共同相続人間の担保責任の指定(民法914条)
◎遺留分減殺の方法の指定(民法1034条)
◎祭祀承継者の指定(民法897条1項)
◎遺贈(民法964条)
◎財団法人設立のための寄付行為(一般社団法人法第158条2項)
◎信託の設定(信託法第3条2項)
◎生命保険金の受取人の変更(保険法第44条1項)
◎認知(民法781条2項)
◎未成年者後見人の指定(民法839条1項)
◎未成年者後見監督人の指定(民法848条)
◎遺言執行者の指定とその委託(民法1006条)
赤字…生前行為でも可能であるもの
遺言をあらかじめ作成しておけば、相続財産をどのように分けるのか指定することが可能になります。
ただし、遺留分を侵害する範囲で財産を指定してしまうと、後のトラブルにつながりやすく、注意が必要です。
遺言を活用すれば、後継者を自由に決定することができます。生前贈与と異なり、いつでも撤回することができるので、経営者の方は後継者を指定した遺言書を作成しておくと、万が一の事態にも備えられるでしょう。
遺言を作成しておくことによって、法定相続人以外に相続させることだけでなく、特定の相続人だけに相続させることも可能になります。
遺言の内容を実際に執行してもらう人を指定することが可能です。
未成年後見人では相続人の中に未成年者がおり、親権者がいない場合に遺言によって後見人をしてすることが可能です。
また認知では婚外の子を認知することができ、認知された子は相続人となることが可能になります。
遺言は法律だけでなく、「どうしてこの遺言を作ったのか」という感情の部分が大事
★付言事項を使い、遺留分減殺請求を防ぐことが重要
遺言者(遺言を作成した本人)が亡くなった後、勝手に遺言書の内容が執行されるわけではありません。
遺言書の内容に沿って実際に財産分けを行う必要があります。
この「遺言書の内容に沿って実際に財産分けを行う」ことを遺言執行といい、「遺言執行者」がその役目を担います。
★なぜ遺言執行者を指定する必要があるのか? ⇒煩雑な相続手続きをスムーズに行うことが出来るため。 通常、相続登記や預貯金の名義変更の手続きなど、 相続人全員の署名・押印が必要になり、相続の手続きを行うにはかなりの手間がかかります。 しかし、遺言執行者がいれば、これを単独で行うことが出来るため、大幅な時間の短縮になります。 |
※遺言執行者を専門家に依頼すべき理由
遺言の執行には、とても複雑で面倒な手続きが伴います。相続財産の名義変更や戸籍の収集など、数多くの手続きを行う必要があり、これを特定の相続人に依頼するのは大きな負担となってしまいます。専門家へ遺言執行者の役割を依頼すれば、このような面倒な手続きを代行してくれるので、特定の相続人に負担がかかることを防ぎます。また、専門知識を持った専門家が各手続きを行うので、スムーズに遺言の内容を実現することが可能です。
※遺言者が真心をこめて書いた公正証書遺言があっても、自筆証書遺言や死の直前での書換えもできてしまう