相続税対策

相続財産と相続税の課税対象となる財産

民法上の相続財産(遺産分割の対象)

 金融資産 
◎預貯金、現金
◎有価証券(上場株式、投資信託、国債等)

  債務       
◎銀行の借入金の残金
◎クレジットカードなどの未払い分
◎未払いの入院費、医療費、是基金
◎保証債務(相続税上、マイナス評価はできない)     

 家屋       
◎家屋
◎宅地、農地、山林、借地権など

 その他    
◎債権、貸付金
◎ゴルフ会員権、貴金属など     

相続税法上のみなし相続財産(遺産分割の対象外)

保険会社から受け取る生命保険金          
◎契約者と被保険者が同一で、被相続人の死亡後に相続人に支払われる
 死亡保険金・死亡給付金・死亡一時金など  (例:契約者亡父、被保険者亡父、受取人子)

勤務先から支払われる死亡退職金          
◎通常は配偶者、配偶者がいなければ子どもなどの相続人に支払われる

★いずれも一定の限度で非課税限度額がある(500万円×法定相続人の数)

相続財産の評価①

土地の評価→1物4価とは

取引価格◎実際に市場で流通している価格。
◎売主と買主の合意によって決まる。→各々の事情や条件によって大きく変わる
公示価格◎地価公示法に基づいて、国土交通省が毎年1月1日時点における価格を毎年3月に発表する全国の土地価格
 の基準となる数値。
◎相続税路線価、固定資産税評価の基礎となります。相続税路線価や固定資産税評価額は地価公示価格を
 基準とするため、地価公示価格が変動することで、これら課税評価額も変動する関係にある。
路線価◎各道路の路線ごとに毎年1月1日を基準として国税局が決定した土地の単価、1平方メートル
 あたりの価格を国税庁が7月に公表する価格です。
主に相続税、贈与税において土地評価を行う際の算定基準として利用される。

固定資産税

評価額

◎各市町村が基準年度の前年1月1日を基準として発表する固定資産税を算定する際の基準となる価格。
◎3年毎に評価替えが行われる。
◎固定資産税や不動産所得税、登記の際の登録免許税等を算出基準となる評価額として利用される。
◎路線価の対象エリア外にある土地は固定資産税評価額に基づいて評価される。
土地の評価→1物4価とは

このように1つの物件には4つの価格があります。
相続では③路線価、登記などでは④固定資産税評価額が必要です。

相続財産の評価②

固定資産税評価額の調べ方

課税明細書の見方
 ◎土地1筆、家屋1個の場合
 ◎土地や家屋が複数あれば、複数記載されます
 ◎下記は都税事務所発行のものです。市区町村役場発行のものは様式が異なります
固定資産税評価額の調べ方

相続財産の評価③

路線価・公示価格の簡易な概算計算 ※だいたいの目安です。正確には税理士に相談してください。

路線価・公示価格の簡易な概算計算
固定資産評価
公示価格
路線価評価

相続財産の評価④

 相続税評価上の「土地の区分け」の大原則 

土地は筆単位の登記簿上の地目ではなく、課税時期の現況の利用単位ごとに評価される

相続財産の評価④
地目ごとに様々な評価減を受けることができる
自用地(宅地)・更地・駐車場・使用貸借地 100%評価
貸宅地・貸家建付地(賃貸建物の敷地) 評価減有 
特定居住用宅地等(自宅) 330㎡まで20%評価
特定事業用宅地・特定同族会社事業用宅地等 400㎡まで20%評価
貸付事業用宅地等 200㎡まで50%評価
私道(不特定多数の人が通り抜け) 0%評価
私道(特定の人のみ利用、通り抜け不可 例:袋小路) 30%評価

相続財産の評価⑤

 家屋            

◎自宅      固定資産評価額
◎貸家・アパート   固定資産評価額×(借家割合:1-30%×賃貸割合:100%)
                           ※東京国税局管内の借家権割合(平成28年度)は30%です。


 上場株式            

相続開始日の最終価格 又は
相続開始月、その前月若しくは前々月の毎日の最終価格の月平均額のうち最も低い価格


 取引相場のない株式   

純資産価格方式・類似業種比準価格方式・併用方式

相続税の基礎控除とは?

相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除とは

財産がこの金額までなら相続税はかからない

財産がこの金額までなら相続税はかからない

配偶者に対する相続税額の軽減~配偶者控除~

偶者なら1億6000万円、
または配偶者の法定相続分まで非課税

配偶者なら1億6000万円、 または配偶者の法定相続分まで非課税

「配偶者の税額軽減」の軽減額はこう計算する

「配偶者の税額軽減」の軽減額はこう計算する

相続分が確定していないと受けられない

被相続人の配偶者は、その財産に対して、大きな貢献があったと考えられます。
また、今後の生活保障を考慮する必要があるため、大きな税額控除が認められています。
これを配偶者の税額控除といい、配偶者が財産を相続した場合、「1億6000万円」と「配偶者の法定相続分相当額」とのいずれか多い金額まで、相続税がかかりません。
控除額は、配偶者が実際に取得した額により確定するため、相続税の申告までに遺産分割が決まっていないと(または遺言がなければ)、適用を受けることができません。 
計算の結果、相続税がかからないとしても申告は必要です。

住んでいる土地の評価8割減~小規模宅地の特例~

被相続人の自宅や被相続人の事業で使用していた宅地は、生活や収入の基盤となる財産です。
そのため、相続財産の評価では、大きな減額が認められています。
相続税を納めるために、こうした土地を売却しなければならなくなることを避けるためです。
一定の要件のもと、評価額は最大で80%減額されます。これを小規模宅地の特例といいます。
特例の対象となる宅地は、大きく特定居住用宅地特定事業用宅地貸付事業用宅地の3種類があります。
また、減額が認められる面積が決まっており、
自宅は330㎡まで、事業用は400㎡、貸付事業用は200㎡までの部分です。(平成27年から対象面積が広がりました)
住んでいる土地の評価8割減~小規模宅地の特例~

例えば、6000万円の土地評価額が1200万円に!
特定居住用宅地と特定事業用宅地のダブル適用により最大730㎡迄評価減が可能

定居住用宅地、特定事業用宅地、貸付事業用宅地を併用する場合→限定併用となり以下の計算式を用います。
特定事業用宅地の面積の合計✕200÷400+特定居住用宅地の面積の合計✕200÷330+貸付事業用宅地の面積の合計≦200㎡

特定居住用宅地の適用要件

 ①同居親族又は同一親族が相続する場合 

□被相続人と同居又は生計を一にしていた親族であること
続税申告期限まで継続してその宅地を所有していること(所有継続要件)
相続税申告期限まで継続して居住の用に供していること(居住継続要件)

 ②配偶者が相続する場合            

□配偶者(婚姻関係のある配偶者をいい、内縁は不可)が相続すること
 ※「所有継続要件」も「居住継続要件」もない
 
⇒配偶者は相続後、申告期限前に売却しても住まなくなってもOK

 ③家なき子が相談する場合           

□配偶者又は被相続人の同居親族がいないこと
□相続税申告期限まで継続してその宅地を所有していること (所有継続要件)
□その宅地を相続した親族が、相続開始前3年以内に国内にその者又は配偶者の持ち家に居住したことがないこと
 「居住継続要件」はない

特定居住用宅地の適用要件

申告期限迄に遺産分割をまとめるのが条件

小規模宅地等の特例の適用を受けるには、相続税の申告期限までに遺産分割が済んでいる必要があります。
遺言があれば、遺産分割協議がなくても小規模宅地特例を適用した相続税申告が可能となります。
小規模宅地特例を使って、はじめて基礎控除以下になる場合も相続税の申告は必要です。
なお、贈与により取得した宅地
(贈与税の配偶者2000万円控除、相続時精算課税制度にかかる贈与にかかる贈与を含む)は贈与時の贈与税の計算、相続時の相続税の再計算においても小規模宅地の特例の適用を受けることはできません。
申告期限迄に遺産分割をまとめるのが条件

事前に遺言等で対策すれば遺産分割もスムーズに進み、
特例の利用等の選択肢も増えます!

相続税の概算計算とその対応方法

①相続税が課税されない人→申告義務なし

相続税の概算計算とその対応方法1

遺産分割対策のみ考える! ただし「名義預金」には要注意!

②生前に対策することで相続税が課税されない人

相続税の概算計算とその対応方法2

相続発生 

基礎控除以下に財産評価を下げ①の状態に OR 特例によって相続税が課税されない状態に!

※小規模宅地の特例、配偶者控除等 ※特例を利用した場合、申告は必要

③特例を使っても相続税が課税される人

相続税の概算計算とその対応方法3

さらに財産の組替え等節税対策

財産評価を下げ、相続税を抑える。
※リスク等しっかり説明し相談者の意向をよく聞くべき

★いずれの場合も遺産分割対策を優先に意識を持つことが重要

相続税対策

①生命保険等の非課税枠を活用する

②生前贈与により財産を減らす

③養子縁組により相続人の数を増やす

◎被相続人に実子がいる場合  1人まで
◎被相続人に実子がいない場合 2人まで
  ※相続税法上、 上記人数まで相続税基礎控除、生命保険・退職金等の非課税限度額の法定相続人の数に含めることができます。
  ※民法上の養子縁組の人数制限はありません。

④所有財産の評価を下げる

例:賃貸用建物の建築で更地評価から貸家建付地評価へ評価減する。
  現金(1億円)をアパート(固定資産評価約7000万円×借家権割合70%=約4900万円)に変える。

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F 戦略財務情報システムFX2
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三原総合経営グループ 三原康郎税理士事務所は
TKC全国会会員です

TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。
近畿税理士会所属

税理士番号:第96685号

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